明日もまた もう一度

小学校教員の備忘録

出会い 第一印象

始業式、着任式で、去年のクラスの子達と別れ、今年のクラスの子達と出会った。

 

子どもたちから見た私の第一印象は、どのようだったろうか…という疑問はとりあえず傍に置いて

私自身と子どもとの出会い方、関わりについて。そして、そこで感じたことについて、書き残しておこうと思う。

なるべく、このブログでは自分が感じた印象(主観的な事実)をさも客観的事実のように語ることは避けたい。あくまでも印象は主観であり、事実ではないのだ。

 

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さて、まずは旧クラスの子どもたちの登校である。

涙涙のお別れになるかと思いきや、子どもたちはとにかく誰と同じクラスになるのか気になっているようだった。

旧クラスの子どもに名簿を渡す際

「担任の先生は誰でもいいからとにかく1組になりたい」

と言っている子どもを見て、やや冷めた気持ちになった。

「また、先生がいい!」

という言葉を少し期待している自分がいた。

寄せ書きに「来年度も先生と一緒のクラスがいい」と書いてあったから、それを鵜呑みにしていた。

 

そうこうしている間に、整列が済み、始業式、着任式が始まる。

 

担当クラスと自分の名前を呼ばれて、そのクラスの前に行く。

「それでは、1年間お世話になる先生に挨拶をしましょう!せーの!よろしくお願いします!」

と、校長先生が言うと、前にいる何人かが

「よろしくお願いします」

と、言ってくれた。

 

その後、学校便りを配布するため、校庭の隅に移動する。

「では、こちら(遊具側)に行きましょうか。前の人たちにも伝えてくれる?」

そう言うと、特に躊躇いもなく子どもたちは前の子たちに、「こっちだよー」「移動するよー」と声かけをしていた。

ひとまず、横のつながりは大丈夫そうかな、と一安心して子どもたちを集める。

ここでも、驚いた。

「はいじゃあこの辺に集合…」と、雑な指示を出すと、

子どもたちはなんと、4列になり適度な距離感で座った。

お行儀がいい子たちだなあ、と思うと同時に

列を崩して前に行く…集団の中で悪目立ちするのが嫌な子が多いのかな、などと、考える。

 

その後、

「自己紹介はまた明日しましょう。これから学校便りを配ります。名前を呼ばれたら『はい』と返事をして、受け取りに来てください。」

と指示を出す。

 

4,5人くらいの子は

「はい!」と短く、大きな声で返事をしてくれた。

その度に、「お、短くていい返事だね」などと、声をかける。

そして…

「◯◯さん。」と、呼ぶとその児童は立ち上がり、既に私のすぐ近くに来ていた。

全然気づかずに動揺した。周りの子は「もう来てるし」などと、クスクス笑っていた。

 

「◯◯さん?」

「あ、はい。僕、頭いいんで、頭いいでしょ?」」

「はい、学校便り。呼ばれたら来てくださいね」

と、言うのが精一杯であった。

 

暗澹たる気持ちで残りの子の名前を呼ぶ。

 

さっきまで、お行儀のいい子達だなどと、思っていたのが嘘のようである。

なんだか覇気もないし、小さな返事は教師を小馬鹿にしているような態度に見えてくる。

 

全員の名前を呼び終え、学校便りを渡し終える。

 

「とりあえず、明日のことで何か質問はありますか?」

 

と、聞くと2人手が上がる。

1人はなんと、彼だった。

「あの、ノートとかってどうしたらいい?」

彼は先程のことは何事もなかったかのように聞いた。

いい質問だった。

「ノートは明日配る学年便りに、指定したノートが書いてあるので、それを見てから買った方がいいかな」

彼はうなずいて聞いていた。

「では、ほかに質問なければ、帰りましょうか」

やったー!などと小さな歓声が上がる。

 

「さようなら、なんだけど、よくさようならって言い終わらないうちに、帰ってしまう人がいるけど、それは寂しいからやめてほしいです。

さようならとみんなで挨拶したら、先生からさようならを言いますので、それを聞いてから帰ってください」

と、伝える。

「では、起立!」

そこまでだらけた動きではない

「おお、なかなか素早い動き!もう少し早くいける?もう一回。リテイク」

例の彼が、苛立った表情を浮かべたように見えた。

「では、起立」

先ほどより早い。

「おお、素晴らしい!」

などと、大袈裟に驚くも彼らは特に嬉しそうでもない。

「さようなら」

「さようなら」声が小さい。まばらである。

「はい、さようなら」

 

こんな感じでお別れをした。

 

最初の印象としては、去年の子たちよりも大人しそうであること。

そこまで人懐っこい子達でないなあ、という印象。

 

まあ、あくまでも印象である。事実ではない。

明日、私は彼らの真実に出会うのだろうか。

少し怖いような、楽しみなような。

なんとも新年度らしい不安感である。この不安が彼らとの信頼関係を構築していくうちに小さくなっていくのだろうか。

…いや、きっとないな。